家に侵入してくるねずみと一括りに言っても、実はその種類によって、生態や行動パターンは大きく異なります。効果的な駆除を行うためには、まず、あなたの家を脅かしている敵がどの種類のねずみなのかを見極め、その特性に合わせた戦略を立てることが不可欠です。日本家屋で主に問題となるのは、「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の三種類です。まず、「ドブネズミ」は、体が最も大きく、二十センチを超えるものもいます。湿った場所を好み、床下や下水、キッチンの水回りなどに巣を作ることが多いのが特徴です。性格は獰猛で、警戒心は比較的低いため、捕獲カゴや毒餌にもかかりやすい傾向があります。駆除の際は、水場周辺の通路に、強力な粘着シートや捕獲器を集中して設置するのが効果的です。次に、「クマネズミ」は、運動能力が非常に高く、電線やパイプを伝って高層階にも侵入してきます。天井裏や壁の中、戸棚の上など、乾燥した高い場所を好んで巣を作ります。三種類の中で最も警戒心が強く、知能も高いため、駆除が非常に難しい相手です。同じ場所に置かれた毒餌や粘着シートにはなかなか近づかず、「スーパーラット」と呼ばれる薬剤に耐性を持つ個体も存在します。クマネズミの駆除には、粘着シートを広範囲に敷き詰めたり、毒餌の種類を変えたり、根気強い工夫が求められます。最後に、「ハツカネズミ」は、体が最も小さく、成獣でも十センチに満たないほどです。好奇心が旺盛で、警戒心はあまり強くありません。物置や倉庫、家具の裏など、狭い隙間を好んで生息します。体が小さいため、わずかな隙間からでも侵入してきますが、粘着シートには比較的かかりやすいとされています。このように、天井裏で物音がするならクマネズミ、水回りで被害があるならドブネズミ、というように、被害の状況から種類を推測し、それぞれの弱点を突いた駆除計画を立てることが、勝利への最短ルートとなるのです。
敵を知れ!ねずみの種類で駆除方法はこんなに違う