朝起きて布団を畳もうとした時、あるいはクローゼットから久しぶりに服を取り出した時に、その上に転がる黒いネズミの糞を発見した時の衝撃と嫌悪感は筆舌に尽くしがたいものがあります。「もうこの布団は使えないのではないか」「病気になるのではないか」とパニックになる前に、冷静かつ適切な手順で処理を行うことが、家族の健康を守るためには不可欠です。まず大前提として、糞が大量に付着している場合や、尿による黄ばみや強烈な臭いが染み付いている場合は、残念ながら廃棄処分を検討するのが最も安全な選択です。特に洗うことが難しい厚手のマットレスや、高価でない衣類であれば、精神衛生上の観点からも思い切って捨ててしまうことをお勧めします。しかし、どうしても捨てられない大切な衣類や布団である場合は、正しい方法で洗浄と消毒を行えば再利用は可能です。処理を始める際は、必ずマスクとゴム手袋を着用し、換気を良くしてください。最初に、乾燥した糞を掃除機で吸うのは厳禁です。病原菌が舞い上がり吸い込むリスクがあるため、ペーパータオルなどで静かに摘み取り、ビニール袋に密閉して捨てます。次に、汚染された部分に消毒用エタノールまたは次亜塩素酸ナトリウム(色落ちに注意)をスプレーし、十分に湿らせてから拭き取ります。その後、洗濯機に入れる前に、八十五度以上の熱湯に一分以上浸すか、六十度以上のお湯で予洗いを行うことが重要です。多くの細菌やウイルスは熱に弱いため、この工程で死滅させることができます。洗濯機で洗う際は、他の衣類とは分け、洗剤と共に酸素系漂白剤を使用すると殺菌効果が高まります。洗い終わった後は、天日干しで紫外線を当てるか、コインランドリーの高温乾燥機を使用して完全に乾燥させることで、ダニや残留した菌を徹底的に叩きます。布団そのものだけでなく、糞が落ちていた押入れやクローゼット内部の清掃も忘れてはなりません。すべての物を出し、アルコールで拭き上げ、侵入経路となった隙間がないか点検します。もし隙間があれば、金属たわしや金網で塞ぐ必要があります。布団に糞があるということは、寝ている間にネズミが体の上を這い回っていた可能性も否定できず、その恐怖は計り知れません。再発防止策を講じない限り、安心して眠ることはできないでしょう。洗濯と消毒はあくまで事後処理に過ぎず、根本的な解決には侵入経路の遮断が必須であることを肝に銘じ、二度と同じ被害に遭わないよう徹底的な対策を行うきっかけにしてください。