山裾や森に近い住宅地に住んでいると、都会では見かけないような多種多様な生き物たちが玄関先やリビングに訪れます。その中には、一見するとゴキブリに似た虫で細長い体型をしたものも多く、最初はその遭遇の多さに辟易することもあるかもしれません。しかし、こうした環境で豊かに暮らすための極意は、彼らを「殲滅すべき敵」としてではなく、地域の「生態系の一員」としてゆるやかに受け入れる共生術を身につけることにあります。私の住む地域では、梅雨明けから初秋にかけて、黒光りする細長い甲虫がよく家に入り込みます。かつての私は、ゴキブリが出たと叫んで家中を薬剤まみれにしていましたが、近所の年配の方に「それは山の神様の使いだよ」と教えられ、見方を改めました。調べてみると、それは確かにゴキブリではなく、森の有機物を分解してくれる益虫でした。共生術の具体的な実践としては、まず家の中への「誘い込み」を最小限にすることです。夜間のカーテンを遮光性の高いものに替え、外へ明かりを漏らさないようにするだけで、迷い込んでくる細長い虫の数は劇的に減ります。また、玄関には防虫効果のあるハーブを植え、自然な香りのバリアを張っています。もし室内で彼らを見つけても、私はもう殺虫剤を使いません。使い古したクリアファイルを差し込み、その上からカップを被せて外の草むらへ運ぶ。この「キャッチ・アンド・リリース」のルーチンは、慣れてしまえば数秒で終わる作業であり、心に罪悪感を残しません。ゴキブリに似た虫で細長いものたちも、こちらの生活圏に積極的に干渉したいわけではなく、ただ光や湿気に惹かれて一瞬迷い込んだだけなのです。彼らが家の外で活動してくれるおかげで、私の庭の土は豊かに保たれ、春には美しい花が咲き、秋には豊かな実りがもたらされます。自然と共に生きるということは、こうした「不快」と「恩恵」の境界線上で、自分なりの妥協点を見出す作業でもあります。細長い虫の姿を、庭が生きている証拠だとポジティブに捉えられるようになったとき、私の住まいへの愛着は一段と深まりました。テクノロジーで完全に隔離されたクリーンルームのような生活も快適かもしれませんが、野生の息吹を感じながら、知恵を持って不快な遭遇をいなしていく。そんな強さと優しさを併せ持った暮らし方こそが、これからの時代における「真の豊かさ」ではないかと私は確信しています。
自然豊かな環境で出会う細長い虫との賢い共生術