近年、多くのエアコンに標準装備されるようになった「換気機能」。窓を閉め切ったままでも、室内の空気を外の新鮮な空気と入れ替えることができる、非常に便利な機能です。しかし、この「換気」という言葉から、「換気扇と同じように、ゴキブリの侵入経路になってしまうのではないか」と、不安を感じる方もいるかもしれません。エアコンの換気機能と、ゴキブリ対策の関係について、その仕組みと正しい知識を学び、安心して快適な空調を享受しましょう。まず、結論から言うと、エアコンの換気機能が、ゴキブリの主要な侵入経路となる可能性は「極めて低い」です。なぜなら、エアコンの換気機能は、換気扇のように、ただ穴が屋外と繋がっているわけではなく、その構造が全く異なるからです。一般的なエアコンの換気機能は、屋外と室内をつなぐ、専用の細い「換気ホース」を通じて空気の入れ替えを行っています。そして、この換気ホースの屋外側の先端には、虫などの侵入を防ぐための、非常に目の細かいフィルターや、逆止弁のような構造が、通常は設けられています。そのため、ゴキブリのような比較的大きな虫が、このホースを通って室内まで到達することは、物理的に非常に困難なのです。むしろ、換気機能を適切に使うことは、ゴキブリ対策において「プラス」に働く側面さえあります。定期的に室内の空気を入れ替えることで、部屋にこもりがちな湿気や、食べ物の匂いを屋外に排出し、ゴキブリが好む環境を緩和する効果が期待できるからです。ただし、これはあくまで「換気機能」の話です。ゴキブリの侵入経路として、本当に警戒すべきなのは、換気ホースではなく、冷媒管やドレンホースを通すために壁に開けられた「配管穴」の隙間や、屋外に開放されている「ドレンホース(排水ホース)」の先端です。これらの場所の対策(パテで隙間を埋める、防虫キャップを取り付けるなど)を怠っていると、換気機能の有無にかかわらず、ゴキブリはそこから侵入してきます。エアコンの換気機能そのものを過度に恐れる必要はありません。それよりも、エアコン設置時の、基本的な防虫処理がきちんと行われているかを確認すること。それが、より本質的なゴキブリ対策となるのです。
エアコンの換気機能とゴキブリ対策