今回の調査対象は築十年の戸建て住宅において浴室にチョウバエではない小さな虫が頻発するという相談案件である。居住者によれば毎晩入浴時に床の上を数ミリの黒い虫が這い回っており排水口を掃除しても一向に収まらないとのことであった。現場に到着し実物を採取して同定したところその正体はヒメマキムシ科の一種であることが判明した。この虫はカビを主食とする食菌性の昆虫でありチョウバエのようにスカムやヘドロをエサにするわけではない。浴室内のカビが主な発生源と推測されたためユニットバスのパネルの隙間やコーキングの劣化部分を精査した。するとコーキングが剥がれた奥の壁内部に結露によるカビが発生しておりそこが巨大な繁殖拠点となっていた。この事例からわかるのは表面的な掃除だけでは解決できないケースがあるということだ。チョウバエではない虫が発生している場合その虫の食性に基づいたアプローチが必要になる。今回のケースでは劣化したコーキングをすべて剥がし内部を次亜塩素酸ナトリウムで殺菌乾燥させた後に再度コーキングを打ち直すという処置を行った。これにより一週間後には虫の姿は完全に消滅した。また居住者に対しては入浴後の浴室乾燥機の使用を強く推奨した。浴室の虫トラブルにおいてチョウバエでない場合は建物自体の構造的な不具合や隠れた場所のカビが原因であることが多い。例えば排水管の接続不良による漏水が床下の湿度を上げそこから這い出してくるパターンもある。調査報告として強調したいのは虫の種類を正確に見極めることで無駄な薬剤散布を避け根本的な修繕にリソースを割くことができるという点である。もしあなたが浴室で何度も同じ虫を見かけるならそれは清掃不足だけではなく住居のメンテナンス時期を知らせるサインかもしれない。専門家による診断を受けることで意外な場所からの侵入や繁殖が明らかになることがある。浴室という空間は常に過酷な湿潤環境にさらされているため適切な補修と管理こそが最大の虫対策となるのである。この事例が同様の悩みを抱える多くの家庭にとって解決のヒントとなることを願ってやまない。
浴室の隙間に潜む正体不明の虫を調査した事例報告