毎日同じアシナガバチを見かけるのに、どこを探しても巣が見つからない。そんな時は、彼らが巧みに巣を隠している可能性があります。巣の存在に気づかずに不用意に近づいてしまうことが最も危険なため、巣を早期に発見することは、安全確保のために非常に重要です。巣の捜索には、いくつかのコツがあります。まず、最も有効なのが「アシナガバチの飛行ルートを追跡する」方法です。庭やベランダで餌を探しているハチを見つけたら、すぐに追い払わず、しばらくその行動を観察してみてください。餌を捕らえたハチや、偵察を終えたハチは、巣へと直線的に飛んで帰る習性があります。そのハチがどちらの方向に飛んでいくのかを、目でじっと追ってみましょう。何度か観察することで、巣のおおよその方角や場所を絞り込むことができます。次に、アシナガバチが巣を作りやすい「定番スポット」を重点的にチェックします。彼らは、雨風が直接当たらず、外敵に見つかりにくい場所を好みます。以下のような場所は、特に注意深く確認してください。軒下、ベランダやバルコニーの天井、窓のサッシの上枠や庇(ひさし)の下、エアコンの室外機の裏や内部、給湯器の内部、普段使っていない植木鉢の中、生い茂った植木の枝葉の間、そしてガレージや物置の内部などです。これらの場所を、少し離れた安全な距離から、ゆっくりと目で見ていきます。アシナガバチの巣は、灰色がかった和紙のような素材でできており、シャワーヘッドを逆さにしたような、たくさんの六角形の穴が見える特徴的な形をしています。作り始めの巣は、女王蜂一匹と数個の巣穴だけの、五百円玉くらいの大きさしかありません。この初期段階で発見できれば、比較的安全に対処することが可能です。巣が大きくなる前の、女王蜂一匹で巣作りをしている春先が、巣を発見するための最も重要な時期と言えるでしょう。注意深い観察が、後の大きなトラブルを防ぐことに繋がります。