これから一人暮らしを始める、あるいは引っ越しを考えている、虫が苦手なあなたへ。物件選びの段階で、少しだけ「虫対策」という視点を持つだけで、その後の生活の快適さと、精神的な平穏は、劇的に変わります。家賃や間取り、駅からの距離といった条件と同じくらい、これから紹介するポイントを、ぜひ参考にしてみてください。まず、最も重要なのが、「建物の構造」です。一般的に、木造のアパートよりも、気密性の高い「鉄筋コンクリート(RC)造」や「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造」のマンションの方が、外部からの虫の侵入は少なくなります。建物の隙間が少ないためです。次に、「階数」です。ゴキブリやクモなど、地面を這ってきたり、低い場所を飛んだりする虫は、高層階になるほど到達しにくくなります。絶対に遭遇したくない、という方は、できれば3階以上、理想は6階以上を選ぶと、そのリスクを大幅に減らすことができます。ただし、エレベーターや人の荷物に付着して上がってくる可能性はゼロではありません。そして、「部屋の位置と周辺環境」も重要です。1階の部屋は、地面からの湿気や、庭の植え込みなどから虫が侵入しやすいため、避けるのが無難です。また、建物のすぐ隣に、ゴミ置き場や、手入れのされていない緑地、あるいは飲食店などがあると、そこが発生源となり、虫を引き寄せる原因となります。内見の際には、部屋の中だけでなく、建物の周辺環境まで、必ず自分の目でチェックしましょう。さらに、部屋の内部では、「窓」と「換気設備」を確認します。網戸がきちんと設置されており、破れや隙間がないか。24時間換気システムが導入されているか。浴室に乾燥機が付いているか。これらの設備は、湿気を排出し、カビやチャタテムシの発生を防ぐ上で、非常に有効です。これらのポイントを全て満たす物件は、家賃も高くなる傾向にありますが、あなたが「虫のいない、安心して眠れる夜」にどれだけの価値を見出すか、という問題です。未来の平穏な生活のための、賢明な投資と考えてみてはいかがでしょうか。