日当たりの悪い部屋や、梅雨の季節。一人暮らしでは、どうしても洗濯物を「部屋干し」せざるを得ない状況が多くなります。しかし、この何気ない日常の行為が、実はあなたの部屋を、特定の種類の虫たちにとっての楽園へと変貌させている可能性があることを、知っておく必要があります。部屋干しが引き起こす最大の問題は、室内の「湿度」の急激な上昇です。濡れた洗濯物から蒸発する水分は、特に換気が不十分なワンルームなどでは、あっという間に部屋の湿度を70%、80%へと押し上げてしまいます。そして、この「高温多湿」の環境を、こよなく愛する虫たちがいます。その代表格が、「チャタテムシ」や「シミ(紙魚)」といった、カビやホコリを食べる、微小な害虫たちです。チャタテムシは、体長1ミリ程度の白っぽい虫で、湿気によって壁紙や家具、あるいは溜まったホコリに発生する、目に見えないカビを主食としています。シミは、銀色の細長い虫で、湿った紙や、衣類の糊などを好みます。彼らは直接的な害は少ないですが、その死骸やフンがアレルギーの原因となることもあります。部屋干しによって湿度が高い状態が続くと、これらの虫が爆発的に繁殖し、気づいた時には、壁や本棚、クローゼットの中が、小さな虫だらけになっている、という事態を招きかねないのです。この部屋干しによる虫の発生を防ぐためには、湿気をいかに効率的に管理するかが鍵となります。最も効果的なのは、「除湿機」や「エアコンのドライ機能」を、洗濯物と一緒に稼働させることです。扇風機やサーキュレーターで、洗濯物に直接風を当てるのも、乾燥時間を短縮し、湿気がこもるのを防ぐ上で非常に有効です。また、浴室乾燥機が付いている物件であれば、積極的に活用しましょう。部屋干しは、一人暮らしの宿命とも言える行為です。しかし、その際には必ず「換気」と「除湿」をセットで行う。このシンプルなルールを守ることが、湿気を好む見えない侵入者から、あなたの部屋を守るための、重要な鉄則となるのです。
部屋干しの恐怖、湿気が呼ぶ虫たち